夏は暑い。人にはそれに応じた能力を開発する力が秘められている。暑ければ汗をかき熱を放散する力、バランスを崩せばそれを立て直す力、必要なら息を止めもぐる力・・・。人には無数の有限の力が備わる。環境に適応する為にその能力が必要ならば、意図的に取り組むことで開発される能力が人間には秘められている。よしんば無意図的であっても何かに反応することすらある。反射と呼ばれる現象だ。どちらも筋群が供応する。

動物はすべからく筋群が動くことにより、その情報が脳に蓄えられる。その情報は常に取捨選択され整理整頓され、まるで抽出されたエキスのように記憶されていく。そうしながら刺激に対する反応性は無駄な動きをそぎ落とし洗練されていく。エネルギーを浪費することも無くなり、より効率の良い動きの再現性が高まる。簡単に言えば正答の確率が上がる。そのプロセスの中ではそうした自分を感ずることもあり、自己変容を思い起こすこともある。それが楽しさの実態となり現れてくる。

彼らの個人的な内受容感覚が頭の中でそう感じるように変化し、維持され恒常性を持つまでになる。ある刺激に対して出現する反応が一貫性の傾向を持ってくる。人々はそういう彼らを見て「明るくて元気のいい子だね」と印象を持つ。取り組まなければ何も生まれてこない。学習しなければ、学習する力さえ失せていってしまう。行動することは常に「何かを知る事」と同義であるし、それが人を含めた動物たちの宿命と学習の原理といえる。

極論すれば、少しずつ慣れる以外に方法はないのである。また、成長途上の子ども達にはそれが求められている。運動に限らない日常の行動全ての中に生まれてくる抽象的な思いを含め、以後の彼らに求められるものは膨大だ。だがそれは、たった一つのことから始まる。それは、まず取り組み、繰り返すことを起源とする。なぜなら、生きとし生ける者は全て生物であり動物、つまり「動くもの」であるからだ。最近では実は、どんな形でさえ動く、行動する事が頭に刺激的な情報を送る最良の手段である事が立証されてきている。老人の認知症対策も然り、障害のある方のリハビリ、子ども達の教育とあらゆる分野でその有効性は応用されている。


<本社センターでの活動>
本社浦和から、ほぼ1時間以内のバス送迎で行ける範囲のクラブは、センターでの活動になる。施設は大ホール、センターとトンネルでつながったプラザビルに2Fロビー、3F・4Fに各小ホールがある。大ホールはトランポリン5台と待機棚でほとんど埋め尽くされる。プラザ小ホール2つは絨毯を敷き詰め、激突防止のマットと硬質スポンジで周囲を囲みローラーブレード場に。プールは水深75㎝、長さ11mと13mの2つのプールを駐車場にセットし、雨天時対策のテントを張り、水温が32度に保たれる温水プールを完備する。万全の準備を整えやってくる子らを受け入れる。館内は冷房が入っているので、何もしなければ涼しさを感じる。だが子らがここに来る目的は「水泳」「トランポリン」「ローラーブレード」「伝承遊び」、運動をしに来ている。運動をすれば身体は熱を産生し、それを放熱する。こればっかりは避けられない身体のメカニズム。運動して暑いのは当たり前なのである。

        

<吉川市しげる幼稚園での活動>
大変ありがたいことなのだが、園の施設、プール、体育館、余地を、例年近隣のクラブ活動のために提供していただいている。吉川市からバス送迎で1時間程度で移動できるクラブは、こちらで夏活動、プール・トランポリン・ローラーブレード・伝承遊びなど、様々体験をする。もちろん当幼稚園のクラブの子達は別日程で活動する。

      

プ-ル
幼児・1・2年生は水慣れの基礎的指導。目標はワンランクアップ。「顔つけ」~「潜り」~「けのび」~「泳ぎ」へと進めてゆく。3年生以上は、水中マスク・フィン・シュノ-ケルを使用し、スキンダイビングの基礎技能を学ぶ。しかし年々、海や川で水中マスクなどを使って遊んでいる子が少なくなっていくのが残念だ。

トランポリン 
空中での不安定感覚を体感しながら楽しむ。内容は1~10段階に分かれ、小学生では全員が4段階(ひざ・尻おち連続)まではクリアし、高学年は腹落ち・尻ひねり連続などの難しい技や前後宙返りにも挑戦。

ロ-ラ-ブレード 
肘・膝・手首のパットを着用し、初・中・上級組に分かれ、足慣らしからスケーティングへ、さらにバック、クロスにも指導を進める。

伝承遊び 
昔懐かしい竹製の玩具を使い、伝承的な遊びに興じる。それらの玩具は、今や竹製からプラスチックに変わってしまってはいるが、実に素朴で、うまく遊ぶには色々な感覚が求められる。絶えさせたくない子どもの頃の遊びだ。電子ゲームばかりやっているより、頭にも体にもずっとよい。

<各会場での活動>
ラックの指導会場は関東各県に広がる。主に東京・千葉・神奈川・茨城・群馬などのクラブは、各園の条件をうまく利用し、より高い有意義性をもち、またユニークな3日間の活動を行った。園での活動、伝承遊び、ゲーム、場所があればローラーブレードなどを用意し、また遠足、公共レクレーション施設を利用し、通常指導では求められない環境で大いに活動する。竹でできたおもちゃで「矢が飛ぶ・音が出る・はねが回って飛ぶ」等自然現象にも触れ、「もののなぜか」を知る貴重な機会となる。各園会場によって条件が異なるので、ローラーブレードやプールなどを展開できないクラブもあるが、この伝承遊びは当社でも十数セット用意しており、不器用で遊び方がわからない現代っ子たちに「プラスチックではないもので遊ぶ楽しさ」を教えてくれる。園庭やホールなど、ちょっとしたスペースがあればどのクラブの子達も体験できるメリットがあるので、大半のクラブ分は用意している。  

体・手・足を使い道具を扱うことは、様々な感覚印象を与えてくれ、尚且つ多くの感想、反省を持たせることにつながる。そこでは遊び道具の持つ面白さや危険性も同時に感じさせる事ができる。だから「体験」する事は膨大な情報を子らに提供してくれる。「予測する能力=考える力」は、この失敗、成功を含めた体験を通じた概念、イメージがなければ育っていかない。机上の知識だけの思い込みでは本当に知る事にはならない。幼い頃からの身体を使った活動と、五感からのフィードバックが頭の中に集積されたもので、ひと言でいえば「触覚なしで発達なし」と言える。自然物と遊ぶほのぼの体験、人は誰しもそんな体験を持つ。永々と引き継がれた文化の伝承、絶えさせたくない子どもの頃の思い出だ。

皆さんのおじいちゃん、おばあちゃんの子ども時代は、遊びといえば、こんな手作りおもちゃ、しかも木・竹・缶々などのブリキの材料で自ら作り遊んでいた。その頃は販売されていたミニカー、ロボット、あらゆる玩具がそんな素材で出来ていたんです。プラスチック製は一つも無かったはずです。竹馬も竹で出来ていたから竹馬であって、現在のような金属ポールじゃなかったんです。この竹馬も、現代っ子達に教えるには、相当な時間が必要です。クラブの一時間足らずの時間では、到底乗れるようにはなりません。よしんば教えたとしても、一度や二度は怪我することも覚悟しておかないと、とても乗れるようにはなりません。今の子は不器用だと言われるが、昔の子どもに比べ運動神経系が劣っているわけではないのです。ただ単に「そういった本当に子どもが育つのに必要なだけの環境と親を含めた社会的背景が、子どもの成長にとって十分ではなくなってきてしまった」というわけです。